社長ブログ President Blog

潔さ

昨日帰宅途中に東中野駅で誘惑に負けてお気に入りのやきとん屋に入りました。いつもと光景が違っていました。
いつもは焼き場に頑固者の大将が陣取っているのですが、大将の姿は無く、通常サブの方が焼き場で
やきとんを焼いていました。大将が体調を崩したのだろうと勝手に想像してカウンターで読書をしながら
ホッピーを飲み、やきとんを頬張りました。お勘定をしようと立ち上がると、今日焼き方をしていた方が
いらっしゃって、「いつもお世話になっています。実は昨日付けで大将は退職しました。理由は独立するためです。
大将は退職の事を徹底的に伏せていました。今後私が焼き方となりますが、宜しくお願いします。」オープン以来、
味と雰囲気が気に入って通っていました。飲み屋によっては、大将を含めたお店の人と会話を楽しむことも
ありますが、このお店は大将の方針なのか徹底的に味と対応の良さで勝負し、会話は皆無です。大将が退職することを
伏せていたことは、このお店に対する義理でしょう。大将が独立すると、このお店から固定客の一部は
新しい大将のお店に流れることは確実です。この対応は、筋を通す立派なものだと考えます。
また、大将の自分の腕に対する自信の表れでしょう。

私も大将とはちょっと違いますが、本質的にはよく似た経験があります。サラリーマンとして働いた後に
独立し今の会社を設立しました。私は当時勤務していた会社、会社の先輩、同僚が好きでした。
ですから私は好きな会社に勤めている間は、そこの社員でいる事に専念したかったのです。
つまり、裏でこそこそ独立の準備をすることを潔しとしませんでした。
「辞めてからその後のことは考えます。」と周囲に言い続けました。
諸先輩からは「馬鹿だな、もっとうまく立ち回れよ。」と散々言われましたが・・・・

大将の新しいお店が繁盛することと、東中野のお店も従来以上に繁盛することを願っています。