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宗一郎さん

人間の達人 本田宗一郎 伊丹 敬之著読了

最近著者の伊丹氏の著書を読む機会が多いです。彼の経営学は「人間中心」を基点とし論理展開しています。
彼にとって本田宗一郎は格好の実証分析の対象でしょう。
本田宗一郎の人間像が深く、そして瑞々しく記述されており、読後感は非常に爽快でした。

以下印象に残った30フレーズ
1.自然に共感を呼び起こし、あの人ならついていきたい、何かを一緒にやりたいという気持ちを起こさせるのである。
2.現場の日常をありありと想像する力、現場想像力がじつに豊かだった。
3.人間の平等を重んじた宗一郎は、差別というものが諸悪の根源だという信念を一生貫いた。
4.その心理を読みわける能力が優れていた。その心理を読むコツを、宗一郎は「人の心に棲んでみる」と表現したことがある。
5.「考える」ということは人間の尊厳の根源なのである。
6.「人間は結局は人柄、人がらであり、仕事への取り組み方である」といい、・・・
7.人間の現実をありのままに見る人、という意味でのリアリストである。
8.神は細部に宿る。ついつい、その細部をおろそかにするのが人間である。それが宗一郎の人間理解の一つの洞察だったのであろう。
9.人間の真実というものを、自分の経験をベースにしかし理論化して汲み出していたのである。だから、リアリストとしての
幅も広がるし、リアリストの中身が色あせない。経験はいろあせることがあるが、経験に裏打ちのある理論は
それよりも長持ちするのが普通だからである。
10.宗一郎にとっては、仕事の本分をきちんと果たそうとする姿勢があるかないか、が問題だった。
11.叱られる相手への思いやりや人間としての尊重が最後にはあったこともまた、みんなが結局はついていった理由の一つであろう。
12.三つの燃料があったようだ。第一は夢あるいは未来志向の気質、第二に自分の能力への楽観、第三に役割モデル
(身近な目標人物)の存在、・・・
13.かりに打率が低くとも、成功もあるし、失敗してもそこに残るものがある。宗一郎はそう考えたのであろう。
それが、宗一郎の失敗の哲学であった。
14.失敗の苦しみの中、なんとかせねばとと考える。その苦しいときの知恵が重要なのである。そこから創意工夫も生まれるし、
苦しむことからも根性が生まれる。
15.壁につき当たると、それを乗り越えようと勇気が出てくるのがエキスパートだというのである。
16.時間は誰にでも平等に与えられている。だから、時間を節約することは誰でもできるはずである。
17.一生を通じて宗一郎は合理性を重んじ、理論を大切にする人だった、・・・
18.組織の洪水はまさに、組織的な時間の酷使の極使である。だから、組織に洪水を起こしたい、経営者としては、
時間にこだわることが必須なのである。
19.手を動かす、つまり試してみること、によって既存の論理の限界を少しは超えられる部分が見つかる。そしてあちこちで限界を
超えられれば、結果として「新しい論理がひらけていく」。
20.教わった知識、つまり他人の過去は、自分の手で確認をし「手で考える」プロセスを経なければ、未来へ進む役に立たない、
と宗一郎はいいたいのである。
21.一つは「シンプルな理で考える」経営者の姿である。第二に、「若さをことのほか尊重する」経営者の姿である。
22.仕事は自分が喜ぶためにやれ、しかし、それがたんなる自己満足になるのは最低で、顧客という「最後の審判」の喜びと栄光を
もらえないような仕事なら意味はない、ということだろう。
23.童心とリアリスト。二つの矛盾しそうなものが、一つの人間の器に同居している。大きい、いうべきだろう。
24.そうした社会的な権威に対する反発の心が、終生大きかったようである。それが、宗一郎自身のエネルギー源の一つでもあった。
25.つねにどんなことでも「何があるべき姿か」を考え、その考えにしたがって物事のいい悪いを仕分ける、という姿勢を
本源的に持っていた。それこそが、じつは「生き方の基本」という意味での哲学というものの、本来のありようなのである。
26.人間の心理というものを論理の全体像の中の一部として明確に位置づけ、なおかつそれを重要部分(しばしば最重要部分)と
思っていたことである。真理と論理という、しばしば相対立する世界のトピックとされがちな二つを、ごく自然に融合しているのである。
27.短くポイントをずばりとついていると同時に、表現がじつに平たくてわかりやすいことである。
その上に、いっている内容そのものが、論理的にも心理的にも多くの人が納得しやすい平明さがある。
28.タダの人間に徹することができたゆえに、じつに人間の普遍性に宗一郎は到達できた、・・・
29.民主主義と人間の尊厳の尊重が、宗一郎という人間の根っこ、人生の流儀の原点、だと私は思える。
30.気配りに溢れた、だが峻烈なまでの未来志向。温かい背中と、厳しい手、その矛盾しかねない二つのリーダーシップの本質が、
ごく自然に同居していたのが宗一郎であった。