私が生まれ育った広島は世界で初めて被爆の惨状を受けた地です。私も幼い頃から、被爆後の様々な
悲惨さを見てきました。
悲惨さを見てきました。
被爆に関して最も印象に残っていることは、小学校時代、広島県では毎年八月六日に行われる
平和学習時に受けた担任の森重久子先生の授業です。当時四十歳台の森重先生が女学校時代に
原爆が落ちた時の地獄絵図の様子を、涙を流しながら語ってくださいました。森重先生は、被爆時に火傷を負い、
一生独身で教職に身を捧げた方です。通常は体罰も辞さない厳格な先生でしたが、被爆時の様子を語る
森重先生の様子に私は大きなショックを受けました。また、近所にも被爆された方は珍しくなく、
火傷の痕を他人に見られるのを避けるため、夏でも半袖を着ない女性の方もいらっしゃいました。
現在は高層市営住宅として広島復興のシンボルともなっている場所は、原爆のために家屋や
健康な体を失い困窮した方々の原爆スラムとして幼少時の記憶に残っています。
幸いなことに私の親族に被爆者はいませんでしたが、父方は台湾からの引き揚げ、母方は祖父が南方で
戦死したため祖母が女手ひとつで四人の子供を育て上げました。
戦争は結局何の罪も無い一般市民を巻き込み、「国民の生命と財産を守る」はずである国が結果として
機能しなかったと言えます。普通の市民が普通に生活できることは、当たり前のことですが
この当たり前のことが現在「平和ボケ」のため、有難味が薄れています。
私自身いつになるかわかりませんが、平和に対して貢献できる職責につきたいとも考えています。
